響け!ユーフォニアムをもっと知りたい!
原作と小説を死ぬほど読んだので考察する!
ユーフォは観るたびに、泣いてしまう!
この記事では、響け!ユーフォニアムのアニメ1期を徹底考察する。
主人公の黄前久美子が「北宇治高校に入学し、京都府大会で金賞を取るまで」の期間だ。
私は小説も全巻読み終えているため、小説とアニメの違いも解説する。
アニメ1期は、小説の1巻の範囲となっている。
ストーリーの概要はwikiなどを参照頂きたい。
響け! ユーフォニアム – Wikipedia
今回の解説では、各キャラクターの内面を掘り下げている。
画像は著作権に配慮してTwitterの投稿を引用しました。
私の文章の中に、Twitterの投稿を挟んでおります。
グレーのボックスは小説を引用しています。
3年生「中世古香織」について
「あすかにこだわる香織」と「あすかの不可解な行動」の理由
アニメの「トランペット(コルネット)のソロパートの再オーディション」が決定してからのあすかの行動は、個人的には謎だった。
あすかは言う。
「正直言って、心の底からどうでも良いよ。誰がソロとか、そんな下らないこと」
そう言っておきながら、香織のところへ頻繁に向かう。
また、香織があすかにこだわる理由も完全に腑に落ちた訳ではなかった。
「かっこいいからね。演奏者として、あそこまで切り捨てて演奏に集中できたらって思っちゃう。」
香織にとって、演奏者としてのあすかが特別なのは分かるが、それだけなのだろうか、と思った。
このあすかと香織の行動に関する理由は、小説を読むと理解出来た。
香織があすかのことを特別に思っており、あすかもそれを受け入れている。
以下、サンフェスの衣装を試着するシーンより抜粋。
「あすかもカッコいいよ」
「ふふん、ありがとう」
頬を赤らめる香織に、あすかが得意げな笑みを浮かべる。
香織はそっとその手を伸ばすと、目の前の少女の腕を引いた。
青いジャケットに、深く皺が寄る。
端正なあすかの横顔が、不意に香織のほうを向く。
「…どうしたん?」
あすかが小首を傾げる。その動作に香織は目を見開き、それから一気に顔を赤くした。
慌てたように、彼女はその手を離す。
「な、なんでもない!」
アニメでは、あがた祭りは「あすか・晴香・香織」の3人で行った。
しかし、小説ではあすかと香織は2人で行ったようだ。
「香織と行く。今日はデートやから。」
あすかがこれを言うと、軽妙で冗談のように聞こえるが、本当にデートだったのかもしれない。
アニメの2期では、2人は白と黒の色違いでお揃いの形の水着を着用している。
2人が卒業した後のエピソードでは、小説「北宇治高校吹奏楽部のホントの話」にて香織からあすかへの思いが描かれている。
(久美子3年生時点で、2人はルームシェアしており、左手の小指にお揃いの指輪をしている)
あすかが「誰がソロでもどうでもよい」と思っているのは本当である。
しかし、友人として「香織に結果に納得して欲しい」とも思っているのだ。
だから、香織の側に行く。
でも、甘い言葉はかけない。
期待を持たせるようなことはしない。
再オーディションを希望した香織の思い
トランペット(コルネット)のソロパートをどちらが吹くのか、麗奈と争った香織。
アニメは、香織の可憐なイメージを守って表現が行われており、ソロパートへの意欲にエネルギーを感じる。
また、同学年の晴香との他愛もない会話に友情が感じられる。
ほっとする、微笑ましい美しさがある。
(香織と晴香の会話)
「私、3年生なんだよね。これで最後なんだよね。3年間やってきたんだもん。最後は吹きたい。自分の吹きたいところを思いっきり。」
「じゃ、だめだったときはお芋買ってあげる。」
「夏だよ。」
「だから、私が探し回らなくても済むようにして。」
あすかが何もしないのを見て、晴香は「こりゃ一人でやるしかねえぞ、晴香」と独り言を漏らす。
部内が分裂する中で、晴香は部員に意見を募ることを決意した。
それとほぼ時を同じくして、滝先生が松本先生との会話からヒントを得る。
(松本先生のセリフ)
「音楽というのは良いですね。嘘を付けない。良い音は良いと言わざるを得ない。お父様もそう言ってらしたと記憶しています。」
コピー機の枚数が部員と滝先生の数を示し、この美知恵の言葉で滝はソロパートの再オーディションを行うことを決めた。
晴香が、滝先生に伝えるとして「オーディションに不満がある人」と質問した際、香織は手を挙げていない。
しかし、滝先生が「再オーディションを希望する人」と質問した際、香織は立ち上がって手を挙げた。
香織の決意を祝福するかのようなBGMは感動的だ。
納得へ踏み出した香織を讃えているようであり、音楽が行動の意味を明確にしている。
晴香の問いかけに香織が手を挙げず、滝先生の問いに手を挙げたのはなぜか。
香織は「オーディションに不満があった」訳ではない。
あくまで「再オーディションを受けて納得したかった」だけなのだ。
ソロオーディションを吹く人を決定するシーンでは、
香織へ、優子と晴香が拍手する。
麗奈へ、久美子と葉月が拍手する。
どちらにも拍手しなかった人が多いのは、この時点での部内の人間関係の悪さも影響している。
拍手する勇気がなかったということだ。
緑が拍手しなかったのは「コンクールの結果以上に大事なものもあるので、揉め事がなくなるなら香織先輩がソロでも良い」と思っているからである。(小説より)
あすかがどちらにも拍手しなかったのは、香織の以下のセリフに理由があるだろう。
「言ってほしくない。冗談でも、高坂さんが上手いとか」
小説は香織の苦しみや不安など、不格好な面も含めて曝け出している。
コンクールの前日にホールを借りた日、香織は自らソロパートの再オーディションを申し出ている。
11話「おかえりオーディション」
— まぎ@メイン垢 (@mgsui_trp924) March 17, 2022
香織も十分に上手なのですが、麗奈さんが更に上をいっていましたね。
滝先生も酷なことをすると初見時は思いましたが、香織の音楽に対する真摯な姿勢を見て、
”彼女なら音楽に嘘はつかない”
と見込んでいたのでしょうね🤔#響けユーフォニアム#anime_eupho pic.twitter.com/AcTcGFtkZE
(香織の演奏)
香織の繊細な音色で柔らかな音楽が、ホールいっぱいに広がった。
高音部分も、滑らかに吹くのが難しい音と音のつなぎ目部分も、すべてが完璧な演奏だった。
欠点が何ひとつ見当たらない。香織の演奏は格段に上手くなっていた。血のにじむような努力の跡が、その演奏からはうかがい知れた。
「ずいぶんと上手くなりましたね、驚きました」(麗奈の演奏)
最初の一音目がラッパから飛び出た瞬間、久美子の耳は明確に先ほどとの差異を感じ取った。
脳味噌をぶたれたような衝撃。高音が空気を揺らし、久美子の耳へと突き刺さる。
迫力のある音色は、しかし美しい響きを保ったまま、まっすぐにホールを駆け抜けていく。
同じ楽譜を見て同じ音を再現しているはずなのに、なぜ二人の演奏はこうも違うのだろう。
こんなの、と久美子は思った。こんなの、ズルい。こんなのが同級生だなんて。「中世古さん、あなたがソロを吹きますか?」
「吹かないです」
「……吹けないです」
香織はまっすぐに後輩を見つめた。その視線の力強さに、麗奈が珍しくたじろいだ。
「ソロは、あなたが吹くべきやと思う」
その声は震えていて、その瞳は赤かった。それは恐らく香織の本心であり、そして本心とはほど遠い感情だったに違いない。「……あのときは、生意気言ってすみませんでした」
「事実やから」
ただ、あの子は納得したいだけやねん。
不意にあすかの声が耳元で蘇る。その言葉の意味を、久美子はここで初めて理解した。
香織は多分、わかっていたのだ。自分の演奏が、麗奈に劣っていることを。
それでも彼女は諦められなかった。きっと、香織は負けたかったのだ。
圧倒的な差をつけられて、自分の心を折ってもらいたかった。
負けを認めるために、彼女はいままでずっと練習を重ねてきたのだ。
本番を迎えることのない、ソロパートを。
小説では、麗奈の「生意気言ってすみませんでした」という謝罪の言葉ですら、香織は「事実やから」とまっすぐに受け入れている。
香織は麗奈の演奏を上回ることが出来なかった。
だが、納得を求めてもがいたその姿が、我々の心に深く刻まれている。
2年生「吉川優子」について
優子は麗奈をいじめてはいない?
ソロパートを吹くことになった麗奈に対して、優子が激しく詰め寄るシーンは印象的である。
この場面の優子の感情の高ぶりと発言内容を踏まえると、優子は麗奈をいじめたと思うのは自然である。
「うちは納得できません!」
「なんで香織先輩じゃなくて高坂なんですか!」
「ちょっとアンタ、なんで無視すんの」
「なんですかやないやろ!なんで香織先輩じゃなくて、アンタがソロなんさ」
「滝先生と前から知り合いやったやろ」
「アンタの父親と滝先生って交流あるらしいやんか。だからアンタは滝先生に贔屓されてーーー」
アニメを初めて観た際、特にこの場面が印象に残りやすい。
その他のやり取りよりも強烈で、印象が引っ張られる。
1年前、香織はいじめや無視をした当時の上級生に「あの子達を無視するのはやめてください」とお願いをした。
そんな香織に憧れている優子が、後輩に対して当時の上級生と同じ仕打ちをするだろうか。
香織先輩マジエンジェルである。
また、優子がいじめをするような人物であれば、夏紀と仲良くはなっていないだろう。
「あいつら、性格ブスやから」には、優子は含まれていない。
夏紀が優子に言った「余計なこと、考えてないよね?」は視聴者にいじめや嫌がらせを想起する。
しかし、夏紀と優子の関係性を踏まえると「余計なこと」は陰湿な手段ではないだろう。
結局のところ、実際に優子が麗奈をいじめたかどうかは分からない。
個人的には「感情的に接することはあれど、いじめてはいない」と思っている。
小説よりもアニメの方が優子の登場シーンは多く、追加されたシーンによって優子が誤解されないように配慮されている。
アニメでは「優子は香織の代弁者」
アニメは優子の登場頻度が多く、小説は香織の登場頻度が多い。
(アニメ制作陣は優子好きらしい)
実はこの変更が、アニメ1期における最大の工夫である。
小説のソロパートの再オーディションのシーンで以下の描写がある。
(香織のセリフ)
「ソロは、あなたが吹くべきやと思う」
それは恐らく香織の本心であり、そして本心とはほど遠い感情だったに違いない。
香織の相反する2つの感情のうち、「本当はソロが吹きたい」という思いの代弁をアニメでは優子に託したのではないだろうか。
「一年でこの音って、ズルいよね。反則だよ」
アニメでの優子のセリフだが、小説ではソロオーディション後の久美子のセリフである。
香織先輩派である優子が口にすることで、この発言の重みは増す。
優子は、麗奈の演奏が優れていることを客観的に理解している。
同時に、香織もこの事実に気が付いているだろう。
「わざと、負けろっていうんですか」
「バレたら、私が脅したことにしていい、いじめられたって言ってかまわない」
「そんなことしなくても、オーディションで香織先輩が私よりも上手く吹けばいいんです」
「関係ないですよね。私には関係ないことですよね。」
「香織先輩は最後なの。今年が最後なの。」
小説によると、香織は3年生になるまでコンクールメンバーとして吹いたことがない。
香織の実力と努力の量を考えると、その事実がいかに残酷か分かる。
麗奈に頭を下げたのは優子だが、香織だってそうしたい位に真剣だったと思う。
香織が我慢したわがままな思いを、優子が代弁して取った行動に思えてならない。
オーディション前、優子と香織は一緒にいる。
優子は「あの、いえ、頑張ってください!」と何か言いかけるが、言えずその場を去る。
夏紀の背中で優子は泣く。
優子はオーディションの結果が予想出来ている。
恐らく、香織もそうであるはずだ。
再オーディション後に泣き崩れる優子。
本当は香織だって、泣きたかったはずである。
香織は結果に納得し、3年生としてあるべき態度を保った。
それに対して、優子は香織の思いも引き受けて、代わりに泣いているように見えた。
再オーディション後の香織に対する描写を改めて抜粋する。
香織は多分、わかっていたのだ。自分の演奏が、麗奈に劣っていることを。
それでも彼女は諦められなかった。きっと、香織は負けたかったのだ。
圧倒的な差をつけられて、自分の心を折ってもらいたかった。
負けを認めるために、彼女はいままでずっと練習を重ねてきたのだ。
本番を迎えることのない、ソロパートを。
この文章が持つ悲痛さを、アニメ制作陣は優子に託した。
優子の行動の意味を知ることで、作品を見返すと「優子がわがままとは思えなくなる」理由が分かる。
私もアニメの初回視聴時は「久美子・麗奈視点」でしか観ていなかった。
観る角度が変わることで、「こんなに新たな発見があるのか!」と驚かされる。
結論「響け!ユーフォニアムは何回も観るべき!」
私がここに書いたことに気が付いたのは、「響けユーフォニアム」の小説やアニメを何度も観た後である。
視聴回数が浅いうちは、キャラクターの行動の理由を理解しきれない部分がたくさんあった。
このアニメは何度見返しても新しい情報の発見があり、細部まで作りこまれた魂のこもった作品であることが伝わる。
このレベルは「映画でやれよ!」とも思う。
初めて観ても感動できるが、深く掘り下げることで更に感動するという魅力を持った「響け!ユーフォニアム」は何度も見返したい作品だ。
アニメの「響け!ユーフォニアム」を観る際は、U−NEXTがオススメ。
私も使っており、アカウントを複数使える。実家にいる家族にもユーフォを観てもらった。
映画版「誓いのフィナーレ」を含む「響け!ユーフォニアム」シリーズを配信しており、31日間無料で観ることができる。
現在、アニメ2期の考察を準備中。
この記事は以上です!
読んで頂き、有難うございました!
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